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三菱電機は2008年8月、同社の太陽光発電システム事業の強化および海外向けモジュールの新製品について発表した。工場の新設や、無電化地域を狙った製品の発売で、この分野の事業の拡大を狙う。
地球温暖化の問題などから、太陽光発電をはじめとする再生エネルギへの注目が高まっている。実際、世界市場では太陽光発電システムの需要拡大が予想されており、富士経済が2008年8月に発表した太陽電池の市場動向に関する報告書によると、世界の太陽電池モジュール市場は、2012年には、2007年比で3.9倍となる4兆6751億円規模に達するという。こうした背景もあり、三菱電機は、太陽光発電量で見た世界需要について、2012年には2007年の1950MWから5550MWまで拡大すると想定した。それに基づき、同社は、生産体制の強化、研究開発の戦略的推進、販売の強化の3つを軸として、太陽光発電システム事業の強化を図るという。
まず、太陽電池セルの生産体制を強化するために、2011年までに約500億円を投資して、三菱電機 中津川製作所飯田工場(長野県飯田市)内に太陽電池セル第2工場を新設する。同工場は2009年12月に竣工予定で、建築面積は5710m2、延べ床面積は約2万4000m2。三菱電機の太陽電池セルの年間生産能力は、2007年8月の時点で150MW。2011年までに、既存の第1工場と新設する第2工場を合わせて、現在の4倍となる600MWにまで増強する計画である。さらに、売り上げ金額に関しては、2011年までに、現状の年間約500億円から約1700億円まで引き上げたいとしている。なお、製造過程で発生する二酸化炭素の排出量を低減するために、屋上には太陽光発電システムを設置する予定だという。
研究開発戦略について、三菱電機 中津川製作所所長である鈴木愛司氏(写真1)は、「高い効率をいかに実現していくかがポイントになる」と述べた。同社は2008年3月に、「ハニカムテクスチャー」と呼ばれる構造を採用した多結晶シリコン太陽電池セルで、18.6%という高い変換効率を実現したと発表している。ハニカムテクスチャーとは、直径十数μmのお椀型のくぼみがハチの巣状に並ぶ構造のことである(写真2)。セル表面の反射率を低下させ、受光量を上げることができるという。
これを利用した「ハニカムテクスチャーセル」の量産化も具体的に検討が進んでいる。同セルは、新設される第2工場で生産される製品に順次導入される予定である。また、最近特に注目されている薄膜系太陽電池についても開発研究を進めている。これについて鈴木氏は、「現在、(設置スペースが限られる)住宅向けでは結晶系太陽電池が主流であり、住宅用の太陽発電システムを中心に事業を展開する当社にとっても、変換効率の高い結晶系が有利」としながらも、「規模の大きいシステムに用いられるのは薄膜系太陽電池が中心であるため、今後は市場動向を見ながら薄膜系の具体的な事業戦略を立てていきたい」と語った。
国内向けの販売戦略としては、販売/施工サポート体制とエンドユーザー向けサービスの拡充を図っていく。現在は、販売店向けに「MPSシステム」と呼ばれるサポートシステムを提供し、施工店向けには「太陽光発電システム据付技術講座」を実施している。MPSシステムは、システム設計や見積書作成、技術資料の閲覧などがインターネットを利用して行えるというもの。一方の太陽光発電システム据付技術講座では、受講した施工業者に試験を受けてもらう。合格すれば「据付技術講座受講終了カード」が発行され、その業者は施工認定店となる。三菱電機はこの2つをより一層拡充したいとしている。また、エンドユーザー向けにはテレビ上で発電量などの情報を確認できるアプリケーションの提供や、コミュニティサイトの開設といったサービスを予定している。
同時に、グローバルな販売体制の強化も図る。三菱電機によると、太陽光発電の2008年度世界需要の規模は2520MWで、2007年度比で約25%の増加だという。同社は、「需要規模は今後も毎年約20%ずつ増加していくだろう」と見込んでいる。現在、同社における太陽光発電システムのエリア別販売の割合は、欧州が7割を占める。欧州にはドイツを始め、英国、フランス、スペインなどFIT(Feed-in Tariffs:電力の固定価格買い取り制度)を導入している国が多いからだ。しかし、電気料金の高騰が続く米国でも太陽光発電への需要が高まっており、今後は米国の売り上げが伸びていくだろうと同社は予測している。欧州に加え、米国も重要なターゲットして体制の強化を図るという。
グローバルな販売戦略を強化する上で三菱電機が注目しているもう1つのエリアがアジア、特に南アジアと東南アジアである。その理由として鈴木氏は、「市場としてはまだこれからだが、無電化地域に暮らす人口が推定6億人(インド5億人、インドネシア1億人)と言われており、電化プロジェクトが盛ん」であることを挙げている。こうしたアジアの無電化地域をターゲットとして、同社は小型の太陽電池モジュールを発売すると発表した(写真3)。2008年10月より販売を開始する。
三菱電機は、2004年よりインドネシアやカンボジアの無電化地域における電化プロジェクトに参入してきた。従来品の公称最大出力は110Wや120Wであるが、無電化地域ではそれよりも低い出力の太陽電池モジュールが要求されていた。そのため、新製品では最大出力が35W、40W、46W、52Wの4品種をそろえた。モジュール1枚単位でこれらの公称出力値を保証している点が特徴の1つである。
新製品のセルタイプは、いずれも多結晶シリコン。動作電圧は、独立型太陽光発電システム(電力会社を介さず単独で電力を供給するシステム)に用いられる12V電池に対応しているという。外形寸法は559mm×674mm×46mm。モジュール変換効率は品種によって異なるが、9.3%~13.8%を実現している。
三菱電機は、無電化地域における太陽電池の市場は5GW級であると見込んでおり、アジア各国の電化プロジェクトに積極的に参画したいとしている。
(村尾 麻悠子)
連絡先:中津川製作所 営業部(第2工場建設)、0120-314382、同 太陽光発電システム海外営業部(太陽電池モジュール)、0573-66-8019
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