MAGAZINE ARTICLES
|
Bonnie Baker |
「A-Dコンバータの入力部に用いるバッファ回路(駆動回路)を設計するのは決して容易なことではない。特に、単一電源のオペアンプや、高速で動作するスイッチドキャパシタ方式の入力回路を備えたA-Dコンバータを利用する機会が増えてきたため、課題は一層大きくなっている」*1)──。逐次比較型(SAR:Successive Approximation Register)A-Dコンバータ(以下、SARコンバータ)において、電荷再配分方式(Charge Redistribution)などと呼ばれる入力回路構造が利用されるようになってから10年以上にもなる。こうした構造の回路に、変換の対象となるアナログ信号を正確に入力するのは、現在でも苦労を伴う作業だ。
信号を入力することなど、簡単なことのように思えるかもしれない。「周波数帯域特性が入力信号の条件に合致するオペアンプを選び、バッファ回路構成でSARコンバータに直結すれば済むことだ」と考える方もいよう。だが、事はそれほど簡単ではない。
まず、選択したオペアンプは、SARコンバータの入力容量に対し、所要の量の電荷を注入できるものでなければならない(図1)。言い換えると、SARコンバータの入力容量に瞬時に流れ込むべき電流がオペアンプから十分に供給されない場合には、変換が正常に行われず、デジタル出力が不正確なものになってしまうのである。
SARコンバータの入力部は、図2のように、入力容量CSHとスイッチS1、S2を用いてモデル化することができる。入力信号を捕捉(アクイジション)する過程では、SARコンバータの内部において、まずスイッチS2によりCSHが電源(基準電源またはグラウンド)に接続される。それにより、CSHに電荷が流入して充電が行われる。このときの充電電圧の値は、SARコンバータの入力回路の構造によって異なる。入力信号を捕捉するタイミングでは、S2が開き、S1が閉じる。S1が閉じると、入力信号源からCSHに向かって(またはCSHから入力信号源に向かって)電荷が移動することで信号が捕捉される。この信号の捕捉には、所定の時間が必要になる。この時間をアクイジション時間(Acquisition Time)と呼ぶ。これは、移動する電荷が1/2LSB以内の精度が得られるレベルに安定するまでの時間に相当する。
バッファ回路を正常に機能させるためには、オペアンプとSARコンバータの間に、抵抗RIN、コンデンサCINを挿入しておくとよい。ここで、コンデンサCINは、SARコンバータの入力容量に十分な電荷を供給するための“電荷貯蔵器”として働く。一方、RINはオペアンプをCINから分離し、オペアンプの動作を安定化するよう機能する*2)。RINとCINで決まる時定数は、使用するSARコンバータのアクイジション時間の条件に合致するよう設定する。最後に、このRIN×CINの時定数に合致するようオペアンプの帯域幅を決める。
オペアンプの出力を直結することでSARコンバータを駆動しようとしても、うまくはいかないだろう。SARコンバータとオペアンプとの間にRINとCIN(RCフィルタ)を挿入しておけば、SARコンバータへの電荷の注入を正常に進めることができ、回路の異常動作を防止することが可能になる。
<筆者紹介>
Bonnie Baker
Bonnie Baker氏は「A Baker's Dozen: Real Analog Solutions for Digital Designers」の著書などがある。Baker氏へのご意見は、次のメールアドレスまで。bonnie@ti.com
マキシムは、PZTおよびCMUTベースの探触子のSNRを改善するために設計されたオクタルバッファを2…
ビジョンとコントロールの親和性を大幅に強化して、検査・識別の自動化による製品の生産効率、品質の向上お…
本製品は2.856GHzを入力源および基準信号とし、その1/36逓降出力を高精度増幅、分岐出力させる…
DEMITASNXは、プリント基板上に存在している「不要な電磁波によるノイズ発生」を抑制するためのル…
TEACのデータロガー「LX」シリーズと組み合わせて振動等の波形データの収集、リアルタイムFFT解析…
ハンドヘルド設計に携わる技術者はパワーを最小限にすることがいかに重要かを知っています。エンべデッド設計のI/Oサブシステムから最後のミリワットまでを搾り取る超低…[ラティスセミコンダクター]
3G/3.5G移動通信ネットワークは、分散基地局トポロジを使用するCDMA2000やWCDMA/UMTS、およびTD-SCDMAなどのテクノロジによって新しい機…[ラティスセミコンダクター]
ソリューション・ブリテン2009年No.6 Power Management IC
アナログ・デバイセズの最新のパワーマネジメントICをご紹介します。DSP/FPGAを保護する降圧レギュレータ「ADP2114」、バッテリ寿命を最大化する6MHz…[アナログ・デバイセズ]
FPGA向け電源回路設計における考慮事項
FPGA向けの電源要件はますます厳しくなっているが、最新世代のFPGA向けの電源要件をサポートするナショナルの主要製品を紹介。[ナショナル セミコンダクター ジャパン]
リニアテクノロジー 高性能アナログICの新製品情報 最新11月版
オペアンプ、データ変換、インタフェースなどシグナルチェーン関連および、スイッチング・レギュレータ、リニアレギュレータ、LEDドライバ、Module、PMICなど…[リニアテクノロジー]
April 2010 新製品カタログ 高性能アナログIC
LT6350 低ノイズのシングルエンド-差動コンバータ/ADCドライバLTC2757 パラレルI/O付き18ビット電流出力SoftSpan DACLTC3108…[リニアテクノロジー]
アナログ・デジタルの仕様とパフォーマンス特性の用語集
この用語集は、テキサス・インスツルメンツのデルタ・シグマ()型、逐次近似レジスタ(SAR)、およびパイプライン ADコンバータの仕様と性能特性に関する定義を収録…[日本テキサス・インスツルメンツ]
高精度トランスインピーダンスアンプ
フォトダイオードなどの微小電流信号を増幅するためには,入力バイアス電流が少なく,入力オフセット電圧やドリフトも小さなアンプを用いてI-V変換するのが一般的です。…[日本テキサス・インスツルメンツ]
革新的な検証アプローチEVEは、従来のエミュレータとラピッドプロトタイピングの長所を併せ持つ、まったく新しいハードウェア活用型検証手法を開発し、それを一枚のボー…[日本イヴ]
新しい検証アプローチEVEはハードウェア検証支援システムのパイオニアとして新しいアプローチを切り開いてきました。従来のエミュレーション・システムとラピッド・プロ…[日本イヴ]
電磁波解析専用ソフトウェア PAM-CEM
電磁波関連機器・部品の解析設計を支援する電磁波解析専用ソフトウェア(CAE)です[特長]・「EMC・EMI問題への対策」を支援 有限差分時間領域法(FDTD)の「PAM-CEM/FD」または有限要素時...[日本イーエスアイ]
|
アナログ電子回路コミュニティ
技術者のための掲示板サイト |
|
Design Hint&Tips
アナログ設計回路の基礎から最新技術動向まで |
|
FPGA Insights
FPGAの総合情報サイト |
|
ANALOG TECH & INFO
アナログ半導体の総合情報サイト |
|
EMC設計・対策
ムラタの先進ソリューション |
|
特集 Denali MemCon Tokyo 2010 |
|
特集 テクノフロンティア2010 |
|
特集 カーエレJAPAN |