インターナショナル・レクティファイアー・ジャパンは2009年2月、1個のPWM(パルス幅変調)方式コントローラICと2個のパワーMOSFETを1パッケージに搭載したDC-DCコンバータモジュール「第2世代SupIRBuckシリーズ(以下、第2世代)」を発表した。出力電流が4Aの「IR3842」、同8Aの「IR3841」と「IR3831」、同12Aの「IR3840」の4品種がある。入力電圧範囲は1.5V~16Vで、入力電圧が5V以下の場合は5Vのバイアス電圧が別途必要になる。出力電圧は0.7Vから入力電圧の90%。第2世代のパッケージはQFNで、外形寸法は、2007年11月に発表された「第1世代SupIRBuckシリーズ(以下、第1世代)」と変わらず5.0mm×6.0mm×0.9mmである。1万個購入時の単価はIR3842が1.205米ドル、IR3831/IR3841が1.30米ドル、IR3840が1.75米ドル。また、各製品に対応した評価基板も用意している。サーバーや通信機器などで使われるPOL(Point of Load)コンバータの用途に適しているという。
第1世代のスイッチング周波数は300kHzまたは600kHzであった。それに対し、第2世代では外付け抵抗の値を変更することにより250kHz~1.5MHzの範囲で設定できる。スイッチング周波数を上げたことで、より小型の外付けコンデンサ/インダクタを使用することが可能になった。また、第1世代ではコントローラICとしてバイポーラ品を用いていたが、スイッチング周波数を上げるに当たり、第2世代ではCMOS品を採用している。
さらに、第2世代ではハイサイド/ローサイドのパワーMOSFETを最適化することで、最大96%という高い効率も実現している。12Vの入力電圧から5Vを生成するといった用途に向けた第1世代では、コストの低減を重視して、ハイサイド/ローサイドで同じパワーMOSFETを用いていた。一方、第2世代では、例えば12Vから1.5Vといった低電圧に降圧する場合でもできるだけ高い効率を実現するために、ハイサイドとローサイドのパワーMOSFETとして異なるものを用いている。12Vから1.5Vに降圧するときのようにデューティ比が小さい場合は、ハイサイドのパワーMOSFETはオフ時間が長くなり、ローサイドのパワーMOSFETはオン時間が長くなる。このため、ハイサイドではスイッチング速度の速いパワーMOSFETが、一方のローサイドではオン抵抗の低いパワーMOSFETが効率の面では有利になる。これを踏まえて、第2世代ではそれぞれの要求を満たせるように、異なるパワーMOSFETを搭載した。これにより、例えば、スイッチング周波数が600kHzのときの効率を比較すると、第2世代は第1世代よりも5~7%向上している。具体的には、12Vの入力電圧から1.8Vを出力した場合に、第1世代の効率は約87%、第2世代の効率は約92%となっている(負荷電流が4Aのとき)。
また、負荷の変動に対する過渡応答特性を改善するために、内蔵する誤差アンプを25MHzに広帯域化したという。さらに、出力電圧の精度にかかわる内蔵基準電圧(0.7V)の精度も、第1世代の±1.5%から±1%に改善した。
IR3840/3841/3842の3品種は「SEQ」という端子を備えている。この端子によって、ICを起動するタイミングを設定することができる。一方、IR3831はDDR(Double Data Rate)メモリー用のトラッキング機能を搭載している。DDRメモリーの電源電圧を監視して、常にその1/2の電圧を出力するという機能だ。DDRメモリーでは電源電圧とその1/2の電圧が必要になるが、このトラッキング機能を使うことで、DDRメモリーの電源電圧に追従(トラッキング)した1/2の電圧を出力することができるのである。
このほか、ソフトスタートやプリバイアス起動、パワーグッド、過熱保護といった各種機能も搭載している。
(村尾 麻悠子)