新日本無線は2009年8月、業務用のデジタル無線機を主なターゲットとしたIF(中間周波数)利得制御IC「NJM2287」を発表した。IF入力周波数は標準で450kHz。電源電圧範囲は2.7V~5.5Vである。外形寸法が5.0mm×6.4mm×1.25mmの14端子SSOPで提供される。サンプル出荷は、価格900円ですでに開始している。
業務用無線機は、2022年までに完全にデジタル方式へ移行する。デジタル無線機にはDSPやマイコンが搭載されており、多くの場合受信回路にIF利得制御ICが使われる。しかし、デジタル無線機専用のIF利得制御ICは存在しないため、高価なI/Q復調用ICを購入し、その一部の回路のみを使用しているのが現状だという。こうした背景から、デジタル無線機用の製品として開発されたのがNJM2287である。
NJM2287は、80dB以上の可変利得範囲を備えている。そのため、電波の弱い信号から強い信号まで広範にわたって安定して受信が行える。これにより、後段に接続するA-Dコンバータも、従来の16ビット級から12ビット級のものに置き換えることが可能になるという。新日本無線の担当者は、「安価な12ビットA-Dコンバータを使用することで、セット全体の価格を下げることができる」と説明する。また、I/Q復調用ICをIF利得制御に用いた場合、A-Dコンバータへの入力部にバッファアンプを使用しなければならないことが多い。一方、NJM2287はレールツーレール出力を実現しているため、バッファアンプを介さずにA-Dコンバータへ接続できるという。これにより、省スペース設計や部品コストの低減が可能となる。
加えて、NJM2287は強信号入力に対応したミキサー回路を内蔵している。そのため、機器全体での雑音指数が削減され、受信感度を向上することができるという。ミキサー入力周波数は標準で45MHz、最大で100MHzとなっている。
このほか、RSSI(受信信号強度検出)回路も内蔵している。また、消費電流も標準で4.7mAに抑えている。
(村尾 麻悠子)